パ ネ ラ ー 紹介 |
岩谷彩子 いわたに あやこ
講演題目:ロマ・ディアスポラ試論―起源を分有する共同体であるために
講演要旨:「ディアスポラ」とは、移住や植民をあらわすギリシャ語に由来し、祖国を失い、離散して生活する人々を指す。ここでいわれる祖国とはしばしば仮定された想像上の「故郷」であるが、ディアスポラとされる人々の現在の生活を成型する言説として機能しうる。ロマ/「ジプシー」も、インドを起源として世界中に離散した人々とされているが、実際に彼らの生活にもっとも身近な集団枠組みは、「インド」という場所を「故郷」として共有することによるのではなく、どこから現在の土地にやってきたのか、という移動の経路によるものである。その経路の多様さ・複雑さは、ロマ/「ジプシー」共同体を分断してもきたが、あいまいな起源は異なる地域に居住するロマ/「ジプシー」、非ロマとロマを結びつけてもきた。本報告では、ギリシャのロマの間にみられる異なる場所への帰属意識に着目し、ロマ・ディアスポラという言説の有効性について検討してみたい。
プロフィール:1972年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了(人間・環境学博士)。
広島大学大学院社会科学研究科・准教授。1996年から、インドの商業移動民ヴァギリを中心に、
世界で「ジプシー」と呼ばれている人々の人類学的研究にとりくむ。
主著に『夢とミメーシスの人類学−インドを生き抜く商業移動民ヴァギリ』
(明石書店、2009年、日本宗教学会賞受賞)
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羽場久美子 はば くみこ
講演題目:EU(欧州連合)のロマ政策は、どうなっているのだろう?
冷戦が終焉し、グローバリゼーションで、国境が解放されると、国境を超えるロマの集団に一挙に光が当たり始めた。
また、東ヨーロッパに多く住んでいたロマのグループが大挙して西欧に流れることにより、イスラム系移民と並んで、
ロマの移民が、メディアをにぎわすようになる。フランスのサルコジ大統領がロマの集団を飛行機でルーマニアに
送り返した、というニュースは記憶に新しい。
「マイノリティの人権を保障する」「国境を解放し共同の発展を目指す」といわれるEUは、どのようなロマ政策をとっているのだろうか。それは、ロマの人たちの生活をどのように保障しているのだろうか。対アフリカ、イスラム、スラブ、さまざまの移民の混交からなるヨーロッパは、現在、ロマとどう共存しているのか。
なぜ、最近になって強力なゼノフォビア(外国人嫌い)が、西欧の人たちの間に蔓延し始めたのか。
拡大するEUから、ロマとヨーロッパの東西の人々との関係に、光を当ててみたい。
プロフィール: 青山学院大学
国際政治経済学部 教授 大学院 国際政治学研究科 教授
<学歴・職歴>
1981年 津田塾大学大学院国際関係学研究科博士課程修了、学術博士(国際関係学)
1981年 津田塾大学国際関係学科研究助手
1985年 法政大学社会学部 専任講師、助教授を経て、平成6年より法政大学教授。
2002−3年、学部教授会主任、2005年法政大学大学院付属ヨーロッパ研究所所長
2007年より、青山学院大学国際政治経済学部、大学院国際政治学研究科教授。
2008―11年、青山学院大学総合研究所欧州とアジア研究代表。
その間、東京大学(10+5年間)、一橋大学大学院(6年間)、京都大学大学院(4年間)、慶応大学(10年間)、早稲田大学(5年間)、講師を歴任。
京都大学大学院COE、一橋大学大学院COE、EUIJの客員研究員、
省庁では、内閣総理府研究会委員、内閣総理府日本・EU市民交流海外交流委員、
参議院調査会、財務省・国際通貨研究所研究委員、外務省欧州局研究会講師を歴任。
<在外研究>
1994−5年 ハンガリー科学アカデミー歴史学研究所にて、客員研究員
1995−6年 イギリス・ロンドン大学SSEESにて、客員研究員
2004年 フランス・ソルボンヌ大学国際関係研究所にて、客員研究員。
2005年 欧州委員会よりジャン・モネ・チェア(国の代表的欧州研究者)授与。
2008年 イタリア・フィレンツェ、欧州大学研究所、研究員。
<学外役職>
日本学術会議 連携会員・監事、ロシア・東欧学会理事・事務局長、日本EU学会理事、
日本政治学会理事、日本国際政治学会理事、JSSEES理事、日本ハンガリー友好協会理事、国際アジア共同体学会理事、東アジア共同体評議会有識者議員、国際アジア共同体学会
副代表などを歴任。海外では、欧州連合ジャン・モネ・チェア(EU)、世界国際関係学会(ISA,USA)日本代表理事(2003-5年)。ECSA
World(EU)委員、AAASS(アメリカスラブ学会)、ICCEES(世界中東欧学会)会員。
その他、民間では、JICA研究会委員、JETRO欧州研究委員、参議院調査会研究会講師、経団連研究会、三井研究所研究会、日本鉄鋼クラブ研究会などで講演、NHK・TBS・日本TV・TV朝日などメディア解説。
<著書>
『拡大ヨーロッパの挑戦―アメリカに並ぶ多元的パワーとなるか』中公新書、2006(2刷)
『グローバリゼーションと欧州拡大―ナショナリズム・地域の成長か』御茶ノ水書房、2004(2刷)
『拡大するヨーロッパ 中欧の模索』岩波書店、2005(4刷)
『統合ヨーロッパの民族問題』講談社現代新書、2004(7刷)
『ヨーロッパの東方拡大』羽場久美子・小森田秋夫・田中素香編、岩波書店、2007(2刷).
『新しいヨーロッパー拡大EUの諸相』日本国際政治学会、有斐閣、2005.
『21世紀国際社会への招待』羽場久美子・増田正人編、有斐閣、2003(3刷)。
『ヨーロッパ統合のゆくえ』宮島喬・羽場久美子編、人文書院、2005(3刷)。
R. Frank, H. Momose & K. Haba, The End of the Cold War and the Regional
Cooperation in Europe and Asia, Tokyo, 2010.法政大学大学院付属 ヨーロッパ研究所所長
青山学院大学 国際政治経済学部教授
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3月12日
永積裕二郎 ながづみ ゆうじろう
講演題目:スペイン・ジプシー 〜フラメンコと絡み合う人生
講演要旨:映画「ベンゴ」、「ラッチョ・ドローム」に出演し迫力あるフラメンコを歌い上げたジプシー歌手‘ラ・カイータ’とそのフラメンコ仲間に惚れ込んだ私は、スペインの片田舎・バダホスまで実際に会いに出かけ、以後何度も交流を続けている。フラメンコという音楽と絡み合う彼らの人生、素顔そして魅力をできる限り紹介していきます。
プロフィール:フラメンコ歌手の魂をゆさぶる歌に強烈にひきつけられるサラリーマン。なぜこれほどまでにひきつけられるのか自分でも不思議だが、その答を追い続けるのが自分の人生であると思っている。
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古舘由佳子 ふるだて ゆかこ
講演題目:ジプシーとバイオリン
講演要旨:ジプシーの音楽は世界中で様々な形態で演奏されているが、特にハンガリー国内での弦楽アンサンブルで奏でられるジプシー音楽の魅力にせまってみたいと思う。
彼らの中にはジプシーのフォルクローレの伝統を受け継ぎつつも、最近はコンサート・オーケストラとして演奏するグループも出現している。
娯楽音楽演奏家としての側面も紹介しつつ、他の地域と比較して独自の発展を続けるハンガリージプシー音楽について、音源も交えて紹介したい。
プロフィール:桐朋学園大学音楽学部卒。1998年にハンガリーにてジプシーヴァイオリンの王という称号、そしてハンガリーの国民栄誉賞であるコシュート・ラヨシュ賞受賞者であるボロシュ・ラヨシュと、100人のジプシーオーケストラのソロ・チェリストであるヴァイダ・バルナバーシュに師事。
以来ブダペストの有名レストランやコンサートにて演奏。2002年、2004年と夏のハンガリー民族音楽の祭典’ヤーコー・ベーラ記念音楽祭’に出演し、それぞれ2000人の聴衆のスタンディングオベーションを受ける。
2004年末、ロビー・ラカトシュの薦めで出場した、ハンガリー国際ジプシーヴァイオリンコンクール・”ボノーパールヴァイ”において、審査員特別賞、ハンガリー演奏家舞踊家協会特別賞、レメーニ・エデ協会特別賞をそれぞれ授賞。ツィガー二(ジプシー)以外で初めての授賞という快挙であり、アジア人、さらには女性としても初の受賞であった。
その後ハンガリー国営放送DunaTV(ドゥナテレビ)等に出演。日本でも授賞以前よりラースロー・ベルキ、シャーンタ・フェレンツ、ロビー・ラカトシュなどハンガリー国内外でも著名なジプシーヴァイオリニストと多数共演。
また自らのジプシーバンドを結成し、全国的にコンサートを行う傍ら、CD”ツィゴイネルワイゼン”(ハンガリー・フンガロトン・レコード製作協力)や、’チャールダーシュ’を発売。NHKラジオ深夜便に出演するなど、メディアにも取り上げられている。
そのほか、エス・ツウより映画音楽、シャンソンなどのアルバムを多数録音。特にシャンソンのCDはANA国際便の機内音楽番組に取り上げられた。また、YUKA名で録音したアルバム’宮崎駿の世界’はインターネット上の音楽配信iTunes+iPodのストアにてJ-POP部門でトップ100の一位を一年近くキープ。
2006年のアルバム売り上げ第三位となった。2010年には、ヴァイダ・バルナバーシュと共に、ブダペストでヴァイダ・ジプシー・コンサート・オーケストラを設立。ドゥナテレビ、マジャールテレビ、ネープサヴァなどのメディアに取り上げられた。
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佐藤雪野 さとう ゆきの
講演題目:チェコの古典と「ジプシー」
講演要旨:2010年、チェコのロマ市民団体が、19世紀生まれのチェコの画家・作家で
あるヨゼフ・ラダの作品を、差別的だとして、教材から排除するように教育省に求め
ました。それ以外にも、チェコの国語教材になるような古典的作品には差別的な表現
の存在が指摘されています。実際にはそれらはどのような表現なのでしょうか。現代
の視点からそれらの表現を批判することの是非も含め、チェコに限られた問題ではな
く私たち自身の問題として、ご一緒に考えていきたいと思います。
プロフィール:チェコ・スロヴァキアの近現代史と中欧地域研究を専門とし、東北大
学に赴任した10年ほど前からロマを研究テーマの一つとするようになる。
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村山和之 むらやま かずゆき
講演題目:パキスタンの職能音楽家たち−ジプシーの故地パンジャーブを中心に
講演要旨:パンジャーブ地方はインドとパキスタンに跨り、ともに豊かな歴史と文化を誇る土地である。ロマニー語と最も近いインドの言語パンジャービー語を話すパンジャーブの職能楽士のステージを紹介する。フォーク以外にもカウワーリーやダンマールといったイスラーム神秘主義(スーフィズム)に根ざしたパフォーマンス)を扱ってみたい。
プロフィール:和光大学非常勤講師。バローチスターン文化研究。
スーフィー芸能研究(カウワーリー、ダンマールほか)
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関口
義人 せきぐち
よしと
東京生まれ。音楽評論家。ジプシー/ロマ研究。
早稲田大学非常勤講師。桜美林大学非常勤講師。
「音楽夜噺」主宰http://www.ongakuyobanashi.jp/
著書「バルカン音楽ガイド」(青弓社)「ブラスの快楽」(音楽之友社)
「ロマ素描」(東京書籍)「ジプシー・ミュージックの真実」「オリエンタル・
ジプシー」(青土社)編著「アラブ・ミュージック」(東京堂出版)
共著「ロマを知っていますか」(解放出版社)「世界は音楽でできている」(音楽出版社)
ジプシーを訪ねて
岩波新書 関口義人/著 岩波書店 2011年1月発行
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増永
哲男 ますなが
てつお
フォークロールレポーター。1975年より東欧の結婚式・クリスマス・イースターなどの民族的慣習や民族音楽舞踊を取材、1982年より『フォークロールレポート』としてビデオ・ドキュメントを定期的に発表。「イナクテルケ村の結婚式」、「セーク村の結婚式」、他多数ドキュメントあり。
1992年より東欧の民族音楽舞踊団を毎年、日本に紹介。本年のロマフェスト・5ヶ国ジプシー・フェスティバルコンサートは通期186番目の発表になる。
同時に東欧ジプシーに関するフィールドワークを重ね、1999年よりルーマニアにおいてジプシーの歌と音楽と踊りの祭典”ロマフェスト”ジプシー・フェスティバルを開催している。
NPOジプシー支援会議ロマフェスト代表
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