スロバキア国立ルチニッツァ民族舞踊団

 

 

 

 

春を告げる妖精たちの透きとおる唄と踊り

花そえる色鮮やかなカリチカ、力強いベルブンク、軽快なチャルダッシュ

リズミカルなメロディーにのり、華やかな衣装が、軽やかに舞い踊る

1996年2月来日 全国45日間33公演
Folklore Report 163

芸術監督:ノサ・ステファン           
音楽監督:スレジアク・マルティン        
舞台監督:バルガ・エルビン           
舞監助手:ユフテスキ・ブラズ 馬場敏成 小林岳丸
照  明  :テイクワン角田 勉 成久克也     
音  響  :チズマル・ロマン 山田雄一      
バ  ス  :駒形利晴               
デザイン :山田哲郎               
制作助手:増永和子               
制  作  :増永哲男               

 

1996年(平成8年)

2月12日(祝)A13:30 C17:30埼玉芸術劇場 S/A 048-858-5500 JR埼京線与野本町西口7分

  16日(金)A19:00武蔵野市民文化会館(東京) S/A 0422-54-8822 JR中央線三鷹北口7分

  17日(土)A14:00市川市文化会館(千葉) S 0473-79-5111 JR総武線本八幡南口徒歩10分

  18日(日)A13:30 B17:00鎌倉芸術館 0467-48-5500 S JR東海道・須賀線大船10分

  20日(火)A18:30浜松フォルテホ-ル S 053-458-2170 JR浜松駅前

  22日(木)A14:00尼崎市総合文化センター(オクトホール) S/A  06-487-0810 阪神尼崎北口5分

  24日(土)C14:00岐阜市民会館 S JR0582-62-6200 JR岐阜・名鉄新岐阜駅7分

  25日(日)A14:00名古屋港湾会館 S/A 052-652-7151 地下鉄名城線名古屋港駅3分

  27日(火)B14:00熊本県立劇場(演劇ホ-ル) S/A 096-363-2233熊本駅前市営バス19番中央環状線

  29日(木)A14:00鹿児島市民文化ホール S/A 0992-57-8111 市営バス16・27番線文化ホール前

3月 2日(土)A14:00下関市民会館 S/A 0832-31-6401 JR下関駅東口3分

   3日(日)A13:30 B17:30宗像ユリックス(福岡) S/A 0940-37-1311 JR東郷駅から西鉄バス5分

   5日(火)B18:30倉敷市芸文館 S/A 086-434-0400JR倉敷駅南へ10分

   7日(木)B14:00高槻市立文化会館(高槻現代劇場) S 0726-71-1061阪急京都線高槻市駅5分

   8日(金)A16:00小杉町文化ホ-ル(富山) S 0766-56-1515JR小杉町役場向かい

   9日(土)B17:00根上町たんとホ-ル(石川) S 0761-55-8550JR寺井駅5分

  10日(日)A14:00越前陶芸村文化交流会館(福井) S 0778-32-3200越前陶芸村(宮崎村)

  12日(火)A13:30新潟市音楽文化会館 S 025-224-5811JR新潟駅北口バス白山公園前

  14日(木)B19:00埼玉芸術劇場 S/A 048-858-5500 JR埼京線与野本町西口7分

  15日(金)B18:30江戸川文化センタ- S 03-3652-1111JR総武線新小岩駅南口15分

  16日(土)A14:00土浦市民会館 S/A 0298-22-8891 JR土浦駅バス共同病院行10分

  17日(日)A14:00グリ-ンホ-ル相模大野 S/A/B 0427-49-2200小田急線相模大野5分

  18日(月)A18:00仙台市青年文化センタ-(シアターホール) S 022-276-2110 地下鉄旭ヶ丘駅東1番直ぐ

  20日(水)A13:30 B17:30札幌市教育文化会館 S/A 011-271-5821地下鉄東西線西11丁目直ぐ

  22日(金)A14:00 B19:00那覇市民会館S/A/B 098-855-5081バス与儀公園前2分

    23日(土)A18:00 練馬文化センター S 03-3993-3311 西武池袋線練馬駅北口2分

 


 チェコとスロバキアが円満に分離独立した93年からチェコは合理的に確実に、スロバキアはゆっくりと流れに任せて経済発展しています。この両国では民族舞踊も違っています。チェコはブラスバンドでビールを飲みながらポルカを踊り、スロバキアはワインを飲みながら弦楽器の奏でる音楽にのせてチャルダッシュを踊ります。

 スロバキアには4つの国立舞踊団があります。スロバキアの歴史から民族的に3つ分けられます。スロバキア民族系SLUK(スルク・93年来日)とLUCNICA(ルチニツァ)、ウクライナルシン系PLUS(プゥルス)とハンガリーマジャール系IFJUSZIVEK(イフユシベク・93年来日)です。このうちのSLUKは純プロフェッショナル舞踊団です。他3舞踊団は民族政策の中から誕生いたしました。PLUSは東スロバキア・プレショフに本拠を置きプロ化へと進んでいます。LUCNICAとIFJUSZIVEKはブラティスラバ市街中心地にあり、良き兄弟となっています。

 ルチニッツァ民族舞踊団は1948年ブラティスラバで誕生し、1970年大阪万博以来、四半世紀ぶりの来日となります。スロバキア国内の圧倒的な人気、海外公演では各国からの最大級の賛辞と評価からなる実績を誇ります。ブラティスラバ芸術舞踊大学(毎年入学定員12名・内訳:コレオグラフ科2名舞踊教育4名バレエ3名バレエ教育3名)民族舞踊科教授ノサ・ステファン氏および助教授バルガ・エルビン氏の指導のもと、主にその大学で学ぶ18才から26才の若さ溢れるダンサーで構成されています。ミス・チェコスロバキアも度々この舞踊団の中から選ばれるほどの美男美女の舞踊団でもあります。団への平均在籍期間は大学在学中の4年であり、卒業後は各地の学校・民族舞踊団または各界の中堅として活躍している様子は、国内での圧倒的人気も理解できます。定年までプロダンサーを務めるSLUKと対照的です。

 民族舞踊指導者の多くはこのルチニツァから育ち、スロバキアの舞踊を長年にわたり日本に紹介しているバルガ・エルビン氏(ルチニツァ在籍ダンサー歴12年はルチニツァ史上最長を誇る)はその代表といえます。

 幾世代のファッションにも通用するベーシックな民族衣装は東ヨーロッパのセンスを感じさせます。また、ひとつひとつの踊りのしぐさに娘の可愛いさが滲み出て、その瞬間の残像がいつまでもあなたのまぶたの奥に残ります。可憐に踊る娘たちと、スピードとテクニックを軽快に披露する若者たちの、若さに溢れ、パワーみなぎるステージは爽やかに私たちを魅了します。

 プログラムAはルチニッツアの代表的なレパートリーで、プログラムBは「遊び・仕事・恋」(糸つむぎの娘たち・結婚式等)をテーマに構成され、特にBプロは民族舞踊の柔軟性に富んだコレオグラフ(振付構成)の傑作集となっています。プログラムCは民族舞踊の生を見ることができる恒例の振付構成なしのノンコレオグラフプログラムです。舞踊手が楽団に曲を注文し、あたかも村の結婚式のごとく自由に唄と踊りを展開します。



構成振付 ノサ・ステファン 音楽 ストラチナ・スベトザール 解説 増永哲男 
1)踊りのスロバキア語タイトル 2)民俗学的地方名 3)代表的な村の名前 4)構成される踊りの名前

Aプログラム

1. シャリスカポルカ 

民族舞踊の宝庫、東スロバキアを代表するシャリシュ地方のポルカ。色鮮やかな衣装とダイナミックで軽快な踊りが私たちを魅了します。

1)Sariska polka 2)Saris 3)Vysne Raslavice4)Polka,Cerkana

2. ヴィハゾバナ

   西スロバキアトレンチン地方の踊りで女性をいかに高く軽やかに持ち上げるかふた組のペアーが膝・腰・肩を使っての妙技を競い合います。
   1)Vyhadzovana 2)Trencin 3)Kubra 4)Vyhadzovana,Uklakovana

3. 棒の踊り

   中央スロバキアの村のファシャング(カーニバル)では棒を持った8人の若者が見事なチームワークで村の道を行き来します。
   1)Palicovy 4)Palicovy,Pastiersky,Retazovy


4. 春の踊り

   娘たちはネコヤナギを手に、イースター(復活祭)の卵と若葉の小枝を持った春の女王さまと待ち望んだ春を祝います。唄と踊りの調和が素晴らしいルチニッツァの代表的プログラム

私たちは新しい夏と青い草を持ってきました。
素敵な幸せを神様から頂きたいのです。
神さま、長く待ち望んだ春と夏をお譲りください
春の王女さまがここにやってきました。
女の子と男の子みんなに良い便りをたくさん持ってきました。

   1)Jar 2)Liptov,Saris 4)Chorovody,Hoja Dunda


5. オゼモク

中央スロバキアのゲメル、リプトフ、オラバの山岳高原に住む牧夫(バラスキ)たち3グループが彼らの生活道具を持っての遊び踊り較べ。オゼモクとはバラスキの踊り遊びの総称。
1) Po valasky od zeme (Odzemok) 2)Gemer,Liptov,Orava
4)Ozdemok,Hajduk,Bunkosvy

東スロバキアのゼンプリン地方、メロディーの美しさと楽しさを代表する女性の踊り(カリチカ)、瓶の踊り(フラシュコビ)とポルカのメドレー。水彩色のグラデーションのかかったスカートも印象的。
1)Zemplinske kvety 2)Zemplin 4)Karicka,Flaskovy,Polka

7. フヤラとチィエルニバログの音楽

中央スロバキア・ポドポラニエ地方の背丈よりも高い木管楽器・フヤラの音楽と名人バイオリニストを多く輩出しているチィエルニバログ(ポドポラニエの北に位置)の音楽
1)Fujara, Balocki primasi 2)Podpolanie 3)Detva,Cierny Barogh

8. ジェトバの踊り

中央スロバキア、お腹を出した男性の衣装と躍動美溢れるカップルが特徴的
1)Na Detvianskych Lazoch 2)Podpolanie 3)Detva,Hrinova

9. クレシャニ

スロバキアの北部は高い山と高原に恵まれ、踊りの中にも彼らの気質を良く表している。姿勢の良い男性のエレガントな踊りと女性の細かいステップを踏みながらの可愛らしさが特徴。
1)Kresany 2)Orava 3)Sucha Hora 4)Goralsky,Ozvodny,Kresany,Vecna

10. シャリシュのパロブチ

東スロバキアは唄と踊りの宝庫といわれ、兵隊募集から派生した若者(パロブチ)の踊りベルブンクをシャリシュの高度なダンス技術でお楽しみください。
1)Sarisski parobci 2)Saris 3)Raslavice,Vranov
4)Verbunk,Basistovska,Marhanska

11. テルホバの音楽

1)Terchovski hudci 2)Orava 3)Terchova 4)Hra na Ppistalky a Husle

12. チルチアンカ

シャリシュ地方チルチ村の娘(チルチアンカ)の踊り
1)Circianka 2)Saris 3)Circi 4)Trasena,Sikovna

13. シラコビ

西スロバキア・ミヤバ地方の男性の楽しくて面白い帽子遊び、最後に勝利した男性に意表を突いた大きなプレゼントが贈られます。
1)Sirakovy 2)Javorina 3)Brezova 4)Sirakovy,Vyhadzovana na Klby

14. チンバロン音楽

1)Melodie na Cimbale 2)Zemplin

15. ゼンプリンの踊り

ゼンプリンの叙情的なメロディで始まるフィナーレはカラフルな女性の衣装と精悍な男性の衣装のコンビが美しく、はぎれの良いダイナミックな踊りで締めくくります。
1)Sviatok na Zemplin 2)Zemplin 4)Cardas,Capas,Karicka,Trescak


プログラム

1. ザポチンカ(パーティ)

ポドポラニエ山麓にあるオチョバ村とリニョバ村の若者たちのパーティ、

山男たちが黒い不気味な雲のようにここにやって来ています。
山男たちよ、どうしてここに来たのですか?
ここにはあなたたちが望んでいるような女の子はいませんよ。

1)Zapocinka 2)Podpolanie 3)Ocova,Hrinova 4)Muzske Cifry,Valany,Hore


2. ヤレニエ(ひよこと猫とネズミ)

2つのパートに分かれています。最初はスロバキア中部、ホレフロン地方の女の子の遊戯からツィポビチカ。「ツィプ・ツィプ・ツィポビチカ(ひよこ)、マク・マク・マコビチカ(種)」と唄いながらひよこの真似遊びです。

ツィプ ツィプ ツィポビチカ、マク マク マコビチカ
まま母が怒ったのはペトリークという男の子と踊ったからです

後半はスロバキア北部、リプトフ地方の踊りオセベ。このカップルの踊りは猫とネズミを思わせます。
1)Jarenie 2)Horehronie & Liptov 3)Polomka & Lipt.Sliace
4)Cipovicka, O sebe(Cifrovanie a Sikovna)

3. ツェピコヴィ(麦たたき)

麦たたき棒を男の子の自由自在に操り遊びます。
1)Tanec s Cepikmy 2)Horehronie 4)Cepikovy

4. プリアトキ(糸つむぎと機織り)

冬の時期になると女の子は手にお母さんの手作りのお菓子を持って村の家(だいたい一人住まいのおばあさんの家が多い)へ集まります。みんなで唄いながら糸を紡ぎます。巻いて撚って強い糸を作ります。縦糸横糸ができ上がり少しづつ織物になっていきます。リプトフの美しいメロディが流れる糸つむぎ部屋にご案内いたします。

糸をゆっくり織りましょう。
私たちの思いもこの糸に織り込みましょう。
秋はなんでも変えることができます。
ロズマリンの花も白くしてしまいます。
娘たちはみんなで唄を織りましょう。
今年の秋はみんな結婚できるかもしれないから。

1)Priadky 2)Liptov 3)Vazec 4)Tanecne Hry,Pradenie,Navijanie Niti,Tkanie platna

5)ハイドゥクとロズカゾバチキ(農夫牧夫の遊び)

4) Hajduk,Odzemok s valaskou ,Muzsuke Cifrovanie,Odzemok

6. カリチカとフラシュコビ(瓶の踊り) A6参照

7. チィエルニバログの音楽 A7参照

1)Balocki Primasi 2)Horehronie 3)Cierny Balogh

8. ホレフロンの踊り

ヨーロッパの東西を流れるドナウ川、スロバキアとハンガリーの国境に沿って流れるれるドナウが一転ハンガリーを縦に縦断するところにスロバキア中央部から流れ込むフロン川があります。フロン川の下流はテコフ地方、その上流(ホレ)にホレフロン地方があります。ホレフロンの二つの村、ヘルパ村の若者とスミアッチ村の娘の出会いから始まります。力強い床へのステップとスロバキアの民族舞踊には珍しいラインダンス(Sorovy)が多く見られます。
1)Horehronci 2)Horehronie 3)Sumiac,Helpa 4)Sorovy,Dupak,Do Kolesa,Parovy

9.オミリエンチ(恋人)

中央スロバキア北部・リプトフ地方、全スロバキアのフェスティバルが行われるビフォドナの隣村、バゼッツ村の娘たちの恋人占い遊び。鮮やかに冠をした4人の娘たちは次の花嫁候補です。

恋人は手を繋いで歩きます。
自分のためにお金を集めて、私のことをすっかり忘れてしまいました。
クリヴァーニという山の麓に有名な美しい村があります。
その村をヴァジェツといいます。
糸をゆっくり織りましょう。
私たちの思いもこの糸に織り込みましょう。
秋はなんでも変えることができます。
ロズマリンの花も白くしてしまいます。
娘たちはみんなで唄を織りましょう。
今年の秋はみんな結婚できるかもしれないから。


10. オゼモク  A5参照 Po valasky od zeme
11. テルホバの音楽 A11参照 Terchovski hudci
12. ポジショビツェ村のフルンチアリ(陶工)

東スロバキア・ゼンプリン地方ポジショビツェ村では昔から優秀な陶器の職人がたくさんいました。またこの村はゼンプリンいちの踊りと踊り手を自負していました。その二つを一つにまとめたこのプログラムは振付者ノサ氏とスロバキアの優れた感性を感じさせます。
Pozdisovski Hrnciari 2)Zemplin 3)Pozdisovice 4)Do Karicky,Cardas


13. チンバロン音楽 A13参照  Melodie na cimbale 2)Zemplin

14. 結婚式(花嫁の旅たち)

結婚をひかえた新郎は仲間たちとベルブンクを、新婦は蝋燭の火とドクルートのメロディに包まれ、両親親戚友人に花嫁の旅たちに幸多からんことを祈ります。バックに流れるドクルトゥのメロディは美しくも哀しくも聞こえいつまでも私たちの心に残ります。愛唱されるこのメロディはスロバキア国歌の原典でもあります。

鳩さん あなたの翼はどこで壊れましたか?
恋人のヤニチカを捜しに行って草原の上で壊しました。
美しい娘よ! 僕に惚れないほうがいい。
僕はいつも旅に出てしまうからあなたを幸せにできません。

窓の前にユリを植えました。
ヤニチカの牛がその花を食べてしまいました。
その事を村長さんに訴えました。
けれども、もし、それ以前にその牛はヤニチカの牛だと分かっていたら、
なにも村長さんに訴えなかったのに

最後はゼンプリンのポルカで明るく楽しく踊ります。
1)Svadbna Rozlucka 2)Spis,Saris 4)Redovy,Svieckovy,Krucena,Do Krutu